「君たちの疑問にたった3語で答えよう。"Buy my book."」

11日にウォール・ストリートを見てきました。祝日だけあって客は多かったのですが、ほとんどは黒い玉に召還されていたり、サイパンでゲリラ戦を挑んでいたりしたので、シアターに入ってしまえばそこまで混雑はしていませんでした。

舞台は2008年のウォール街。若くして成功した投資家のジェイコブが、サブプライム問題の波に乗せられ浮き沈みを経験するお話。投資の師匠でもある社長のルーの仇討ちに燃えて、(推定)仇のブレトンに引き抜かれるあたりアメリカ映画っぽくないな、とか思いながら見ていました。なによりゴードン=ゲッコー役のマイケル・ダグラスが良い。冒頭の出所のシーン(インサイダー取引で数年間服役していた)の哀愁漂う姿から、大学での講演、娘夫婦から騙し取った(?)1億ドルでの返り咲き、エンディングでの邂逅、どれをとっても「このオヤジ渋すぎる」、後半は付け加えて「たまらなく殴りたいが殴れん(プルプル)」といった感想。
返り咲きの準備でスーツから靴から仕立てるシーンは、思わずニヤリ。スマホで取引の指示を出しつつ、「4足もらおう。」とか。こういう細かい演出をやりたいのですが、PLからしたら演出過剰でウザイのかも?
ちなみにエンディングでの邂逅はうちのPLたちなら、間違いなく殴ってくるレベル(笑)
 
一応作中唯一のアクションシーンに言及すると、バイクで私有地の森林?を競争するシーンがあるんですが、主人公と敵役の社長がどちらのバイクに乗っているかが非常にわかりにくいので、倒木で狭くなった場所の通り抜けで接触上等の車体寄せがどちらが仕掛けたもので、どちらが突っぱねたのか、というのがわかりにくい。(シーンの文脈上どちらが仕掛けてもおかしくないシーンなので)

今回は戸田奈津子訳に疑問を覚える箇所多し。テンポはいいのですがやはり誤訳があると、ちともにょる。んで、アクションはほぼ皆無の映画なのでスラング的な台詞の訳にセンスがないといけないわけですが……どうもニュアンスが違いそうな箇所が多々。
一例としては、
non-profit〜のくだり。「非営利?ああ、あれだろ。学生のときにゴミ拾いやらで働かされるあれ。」
あまりきちんと聞こえたわけではないですが、volunteerなのでいちいちこんな風に書かずにカタカナでボランティア(あるいは日本人への皮肉たっぷりに奉仕活動)でいいんじゃないかな?と。
で、実際問題として、米国でも進級単位のことが多いので利益を得てないわけじゃなかったりする不思議。(金銭的には非営利ですけどね。)
他には、モラル・ハザードってもう日本語じゃないの?とか。(字幕では「『倫理観欠如』」)
やはりこういう台詞回しで魅せる映画はきちんとヒアリングできないときついな。

今回、RPG的視点としては
ゴードン(元カリスマ投資家、インサイダーで逮捕歴あり、返り咲きを狙う)、ブレトン(ゴードンを陥れた当代の金融王)、ジュリー(それらを見守る金融界の古老)は現代〜近未来のメガコーポなどを牛耳る黒幕の参考になりそう。まさにその典型だし。
残念ながらこれをそのままシナリオに落とし込むのは難しいなぁ。
PC1:若き投資家、師匠が株の大暴落に責任を感じ自殺。恋人にPC2
PC2:PC1の恋人。カリスマ投資家の娘、父親とは不仲を通り越して音信不通。非営利の報道記者。
PC3以降:投資家の友人とか報道の友人とかを入れつつ、裏系の職業の方々やら暴力装置的PCを入れるのか?
PC1〜2間をしっかり演じられるPLでないと難しそうですな(笑)